
ドナルド・トランプが一代で財を築いた方法は?
トリックスター的な魅力
アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は、アメリカの男一匹ガキ大将的な人物として、立志伝中の人物です。
大統領候補としては最初は泡沫候補にも関わらず、ここまで選挙戦をかき回し当選を果たしたのは、見事というより他はありません。他の候補者に対しての不信感から、いわば白票的な存在であったにも関わらず、彼自身の魅力から、選挙民の心をつかんでいったのです。
過激な発言、派手なパフォーマンスばかりが取り上げられますが、彼の知られざる一面を集めてみました。
不良だった少年時代
父はニューヨークのクィーンズ地区で不動産業を営むドイツ系アメリカ人でした。裕福な家庭ではありましたが、彼自身が不良少年であったため、問題行動を起こし続けていました。そのバカ息子っぷりは、13歳のときに、ニューヨーク・ミリタリー・アカデミーに入れられてしまったほどです。
父の仕事の手伝いからキャリアがスタート
金持ちトランプキャリアは、決して華麗なスタートだったわけではありません。大学を卒業した後に就いた仕事は、いわゆる家賃の取り立て人でした。
労働者たちの街で家賃を取り立てるのは時に危険な目に会います。その上、この仕事は苦労の割に利ざやは薄かったので、トランプは早くもっと儲かるビジネスをしたいと考えていました。
始まりは抵当流れの物件だった
オハイオ州シンシナティにある、スウィフトン・ヴィレッジは千二百戸の住宅団地でしたが、八百戸の空き家があり、デベロッパーは破産していました。
悪質な入居者がはびこり、業者間での評価は最低ランクで買い手のない無法地帯と化していたこの住宅団地を、トランプは、いわば最小限の値付けで入札し、落札したのでした。

初めてのビジネスの成功がその後のトランプのスタイルになる。
トランプは、「五十戸の管理も千二百戸の管理も手間は同じだ。しかし、利益は莫大なものになる」と述べています。(トランプ自伝より)
徹底した管理体制を敷き、まずは悪質な入居者を追い出し、次に質のいい顧客を招くために、大がかりな改装修理を行いました。そのための費用は80万ドルかかりましたが、彼は惜しまず投資しました。
高い家賃を得るためには、物件は常に清潔に保たれ、廊下にはペンキを塗り、敷地に造園を施し、新聞に広告を載せる必要があることを、トランプは理解しており、逆にそうすれば、必ず利潤があがると読んでいたのです。
天性のビジネス感覚で掴んだ成功
彼のビジネスのスタイルは、割安株を見つけ投資をするバフェットと同じです。
誰の目にも止まらないような物件を、あっという間に金のなる木に変化させる。
事実、この物件を皮切りに割安物件を見つけて、彼自身が手をかけ、莫大な利潤を生み出す物件に生まれ変わらせるのは、その後の彼のスタイルとなりました。
成功の後のどん底
80年代の初頭より、トランプはメディア露出を意図的に増やしていきました。当時から過激な発言が多く、私生活も派手だったので、金持ち不動産王トランプはあっという間に有名になりました。
しかし、90年初頭、拡大路線を突き進むあまり、ある投資物件の失敗から資金がショートを起こしそうになり、財産のほとんどを売却したこともありました。
とはいえ、不況下でも手持ちの不動産資産だけは利益をかろうじて確保していたので、なんとかこの難局を首の皮一枚で乗り切ることができたようです。
しかしこの時代は、浮気や離婚、再婚など私生活での問題も多かったので、トランプがメディア露出を避けていた唯一の時代と言われています。

失敗から学んだこと
この失敗を受け、トランプも反省したようでしたが、自分の言動を見直す方向にはいかなかったようで、彼はビジネスの失敗について、下記のように述べています。
「俺は専門家と称する連中に頼りすぎたんだ。ハーバードやワートンを出た連中にね。彼らは驚くほど頭が切れるし要領もいい。だが彼らにビジネス感覚がなかったら、一巻の終わりさ。俺はビジネスをそういう連中に任せすぎていたんだ」(トランプ自伝より)
共和党の論客として
その後はメディア露出も復活し、メディアも面白がって政治的に彼の過激な発言を取り上げていました。
オバマ大統領の出生地が議会で問題になったのも彼の発言が発端でした。(米大統領になるためにはアメリカで生まれることが条件だが、オバマ大統領に一時アフリカ生まれの嫌疑がかかっていた)
共和党の候補者指名争いでは、その持ち前の口の悪さから、毀誉褒貶が激しいですが、一方で強いリーダーシップを発揮しそうな期待感から、最も熱い候補として注目を集めていした。
日本人の知らないトランプ氏にまつわる意外なトリビア
話術がずば抜けてうまい
彼の伝説的な発言を集めた動画も作られるほど、彼の発言はエキサイティングで歯切れがいい。ニューヨーク訛りの彼の英語は行儀がいい感じではないですが、自信に満ちたしゃべり方です。
トランプ・ワールドタワーには本当のセレブが住む
ニューヨークの一等地に建てられているトランプタワーの住人はセレブばかりが住んでいる。スティーブン・スピルバーグやビヨンセ、最近ではニューヨークヤンキースの田中投手も住んでいるとか。
バックトュ・ザ・フューチャーのモデル
バックトュ・ザ・フューチャーに出てくる悪役ビフ・タネンのモデルは、ドナルド・トランプ氏です。これは似ているという話ではなく、脚本家のボブ・ゲイルが当時テレビにトランプ氏が出てきたのを見て、こいつをモデルに悪役を作ろうと決めたと、後年インタビューに答えている。
トランプ氏のせいでミス・ユニバースメキシコ代表が棄権
トランプ氏がした発言の中で、最も過激だったのが、「メキシコはアメリカにレイプ犯をせっせと輸出している。だから、私が大統領になったら、国境に壁を作る。そしてその金はメキシコ政府に出させる!」というものだ。(前出の動画中にもその発言アリ)
このため、トランプ氏がミス・ユニバースの運営に関わっているのを理由に、ミス・メキシコ代表はこの年コンテストを棄権しています。
…………カツラ?
どうやら、この奇妙な髪型についてのツッコミも多いらしく、ある時ラジオ番組に出たら、DJに直接聞かれたそう。聞かれたトランプも「そんなに疑うなら、触って確かめてみろ!」とのこと。おそるおそる確かめたDJは、「本物だ」と一言。しかし、この奇妙な髪型についての疑問は残ったままですね(笑)。
ビッグデータ時代の申し子・世界初のSNSによる世論誘導
Facebookの個人データ流出が話題に上がりましたが、そのデータ流出先は、イギリスのケンブリッジアナリティカと言われています。
このケンブリッジアナリティカという会社は、データマイニングとデータ分析を手法とする選挙コンサルティング会社として有名ですが、実はトランプのバックであるヘッジファンド・ルネッサンステクノロジー社の傘下となっています。
つまり泡沫候補だったトランプが、大統領にまでなる大躍進を果たしたのは、ケンブリッジアナリティカのビッグデータ解析による世論誘導の結果ということになり、一見滅茶苦茶に聞こえるトランプの発言も、すべて計算され、アメリカの大衆に支持されるよう分析されているということになります。
ビッグデータを解析して、世論誘導に役立てるなど、一般的には夢物語と切り捨てられそうな話題ですが、実際にアメリカ大統領を生むという結果を出してしまったため、今後の民主主義の在り方に疑問を持つ方が増えてくるかもしれません。
ちなみにトランプのバックについているルネッサンステクノロジー社ですが、投資家へのレポートに、「現在トランプ政権内で、よくない事態が起きている」と書いており、ポジションをリスクオフへ切り替えたようです。
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