4月2日に日銀の短観、企業短期経済観測調査の結果が発表されましたが、景況感は8か月ぶりに悪化しており、原材料価格の高騰や米国起因の貿易戦争への懸念、円高進行で確実に景況感が悪化していることが鮮明になりつつあります。

その中でかなり驚かされたのが企業の想定している社内の為替レートの問題です。この調査は3月に実施されているわけですが、大企業・製造業による2018年度の収益計画の前提とする想定為替レートが1ドル=109円66銭と昨年12月調査時点での17年度下半期と同じ水準で、足元の為替レートと大きく乖離している点が非常に注目されます。
現状ではとてもではないですが110円に戻ることは想定できない状況であり、本邦企業の読みの甘さが顕在化する状況になりつつあります。企業業績の視点から見ても為替レートが実際の水準からかけ離れていることが、収益見通しを大きく下回ることが予想され、株価の上昇も見込めないという負のスパイラルに入り込もうとしていることがよくわかります。
機関投資家は4月後半から5月になるまで動かない
新年度入りはしたものの、多くの機関投資家は簡単に動き始めることはできず、ここからいきなり外債運用が増加する傾向にはありません。ただ、本邦の輸出系企業の場合はそんな悠長なことは言っていられませんのですでに6月以降の為替の手当てに動き始めていることは確かで、先物の円買い予約もはじまりつつありますから、ドル円に関しては107円台に戻れば想像以上のドル売り円高が出てくるものと思われますし、足元ではすでに107円手前からもこうした売りが並び始めているようです。
新年度入りしても東証にまったく参入してこない外人勢
新年度入りした国内の証券市場はまったく振るわず、本邦勢が買いを入れてきてはいるものの外人投資家は大きな動きを見せていません。2001年から過去17年間外人勢は4月の東証株式市場では一貫して買い越しで臨んできていますが、今年に関しては必ずしもそうした動きにはならないリスクが高まりつつあります。
この背景の一つとして、政治の不安定な状況がネガティブな影響を与えているものと思われます。また足元では米国の株式相場すら危うい状況ですから、日本株への資金の投入を見送りキャッシュアウトして様子をうかがう投資家が多いのは仕方ない状況ともいえます。
ただ、こうした海外勢は買いを入れないどころか売りから入ってくるリスクもかなり高く、新年度入りの日経平均も決して明るい先行きが望めない状況です。
4月ドル円相場はしっかり戻り売りで対応
3月末に一瞬とはいえ107円台に回復したドル円でしたが、結果的に見ますと年度末やイースター休暇を控えた単なるポジション調整とショートカバーが相場を押し上げただけで決して相場のトレンドがドル売り円買いから反転したわけではないことを強く示唆する状況となっています。
すでに106円台後半には本邦輸出勢とみられる売りオーダーも並び始めているようで、ここからは国内要因で円高が進行してしまいそうな気配が濃厚です。
株式市場もドル円も例年のシーズナルサイクルとはかなり異なる動きをはじめていますので、ここからはあまり断定せずに相場の状況にあわせてフレキシブルに売買ができるように準備をすることが重要になりそうです。
ドル円はすでに105円台を試しにいっており、大きく下げる気配はないことから突込み売りは禁物ですが、上値は想像以上に重い状態が継続中です。
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