
FRBは利上げ減速できるのか?
米国債金利は2年債と10年債のスプレッド差が縮小するフラット化が進んでいます。
14日ブラード・セントルイス地区連銀総裁が年内もしくは2019年初旬に逆イールドとなるリスクがあり、実際に逆イールドが起きれば、米経済にマイナスのシグナルを送ることになると語ったことが話題になっています。
今年、ブラード総裁はFOMCメンバーとして投票権を持っていませんので直接的にFOMCに影響を与えませんが、主要なFRBの連銀総裁が逆イールドについて触れるというのはやはり景気後退の一つの指標としてイールドを気にしていることは間違いなく、ブラード総裁自身はFOMCが拙速に利上げを進める必要はないとの見方を示しています。
これらの発言が、今後のFOMCにおける利上げスピードになんらかの影響を与えることになるのかどうかが注目されています。
逆イールドが発生することは相場の黄色信号
米債金利に逆イールドが発生すると必ず暴落になるというわけではありませんが、米国における過去の相場暴落の前には逆イールドが発生することが多くありました。
直近では2001年の米国のITバブルの崩壊がまさにこれで、87年のブラックマンデーのように暴落はしたものの、経済への影響が軽微だったケースとは違い、かなりシリアスな経済的影響を与える相場下落の時にあらわれる兆候であることが非常に気になります。
これまで過去100年近い米国の株式市場における暴落の歴史をたどりますと、必ずその前に金融当局が利上げなどの過度な金融引締めを行った直後に相場の大幅下落が起きていることは事実であり、6月はすでに市場の予測確率100%となっているFOMCの追加の利上げが、年後半にむけてどのように進むのかに大きな関心が集まりそうです。
低金利下におけるイールドカーブのフラット化や逆イールドはたいした問題ではないという見方もFOMCメンバーの中にはあるようですが、ブラード総裁が記者のいる前で明確に逆イールドを意識した発言をしたことは注目されるところです。
米国相場は平穏な様相 嵐の前の静けさか
足元の米国株式市場は10年債利回りが上昇してもほとんど気にすることなく緩やかな上昇相場を継続しており、14日でなんと8日連続陽線引けとなるなど下落の兆候は見られず、今年の5月はBuy in May なのではないかといった楽観的な予想も飛び出しています。
ただ、強いトレンドが出ているわけではなく、依然としてFANNG株やBIG5を中心としたIT銘柄による市場のけん引が期待されている状況となっています。
一般的に米国は失業率が低減している時期に絶対暴落は起こらないというのが定説になっており、相場の下落リスクを意識する市場参加者がかなり減っていることだけは間違いない状況です。
ただ一部のファンド勢は利益がでた株を利益確定した後にさらに新たな株への投資を控える姿勢を打ち出しているところも多いようで、さすがにリーマンショックから10年となる今年相場に大きな変化がでることを警戒する向きが非常に増えていることがわかります。
ここからは相場の参加の仕方がかなり難しくなりそうですが、すぐに暴落が起きないとなればストップロスをおきながら相場に買いで参入することも必要になりそうな状況となっています。
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