
ファンダでは理解できないAI/アルゴのFX相場の闇
23日の東京タイムから突然下がりだしたドル円は、111円から底なし沼に入り込んだかのように一気に109.556円まで下落をしました。
ロンドンタイムが始まる夕方頃に底打ちをしドルが多少買い戻されましたが、それもFOMC議事録発表時間の110.330円までが限界で、翌24日の東京タイムから再度下攻めに遭い、前日の底値をさらに下抜けて午後2時過ぎには109.329円までつけました。
しかし今回の下落理由を冷静に考えてみても、理由らしい理由はみつからず、ファンダメンタルズ、テクニカルの両面から考えてもフォローしづらい値動きで、市場関係者も困惑の表情を浮かべています。(こういう言い回しは、便利ですが本質をついてません。つまりはポカンと呆けてたということです)

後付の解説をされても釈然としないドル円下落理由
既にメディアなどではドル円が1日に1.3円もすんなり下落した理由についてはあれこれ語られています。
まず、きっかけとして、北朝鮮情勢でトランプ大統領が米朝会談がお流れになるリスクがあることを名言したことが一つの原因(結局、会談はキャンセル)とされていますし、新興国通貨であるトルコリラが対ドルで激しく売られ、対円でも大きく値を落とす場面があったことから円高が示現し、それにつられる形でドル円も下落したことも理由として挙げられています。
さらに、米10年債利回りが3%近くまで下落してしまったことでドル円を押し上げるサポートとして機能しなかったことを理由にするアナリストも存在しています。
しかし、毎日相場を見ているものの、こうした要因だけでここまで下値のサポートラインをあっさり下抜けたことは、相当クビをかしげる事態であり、ここに挙げられた材料は決定的な要因とは思えない状況が続いています。
CTAのアルゴリズム主犯説
そんな中で市場のひとつの見解として、CTAが利用しているトレンドフォローのアルゴリズムの存在が指摘されています。
実はドル円が111円台に上昇するタイミングでも米系のヘッジファンドがLIBORの金利コストに耐えかねてドル円のショートを反対売買し始めた段階から、すかさずこのCTAが稼働してドル円の相場を一気にオーバーシュート気味に押し上げ、111円台中盤まで持ち上げる原動力になったのではないかと言われています。
今回はまったくその逆で200日移動平均線を下回った110.200円あたりから猛然とこのアルゴリズムが売り浴びせをはじめ、一気に109円台中盤まで値を下げてしまったのではないかという憶測が飛び交っています。
CTAのアルゴリズムは高速売買でも有名な存在ですが、最近ではAIを実装しトレンドフォローで猛烈に動くことが確認されており、これが相場を想定以上に下落させた犯人だと言われています。
AI実装のアルゴリズムはチャートの形で過去の形状を徹底検索
ひと昔前まではプロもアマチュアも市場参加者はすべて裁量取引で売買をしていましたから、取引のスタイルや発想はそれぞれに違ってもものすごい高値になれば自ずと買い上がるのを躊躇しましたし、底値に近づけば売り進むのには自然とブレーキがかかるものでした。
しかし足元でAIが実装されてアルゴリズムは長い時間足から短い時間足まで徹底してトレンドがでているかどうかを探っており、しかも相場の先行きはNVIDIAで話題になったGPUを利用して過去のあらゆる相場のチャートの形を検索することで先行きを想定して売買をしてくるようになっていることから、相場にはもはやレベル感というものもなくなっています。
そのためチャートのテクニカルポイントをいとも簡単に踏み越えるような売買が実際、現実になってきているのです。したがって今回のような相場状況になると、多くの市場参加者がその理由を把握することができなくなり、その後の相場展開に対する予想も分散化あるいは、的外れなものが並んでしまうという状況になっているのです。
今回のドル円の大幅下落は、正直なところCTAのアルゴリズムが主犯格なのかどうかは確認のしようがない、今後もこうした相場展開が頻発するであろうことは容易に予想できます。
こうなると個人投資家ができるのは、流れが変わりトレンドが発生したとなれば高値でもそれについていくこと、および天井の高値づかみをしても、大怪我をしないように、トレーリンストップの手法やストップロスを確実に置くことくらいしかありません。
これはファンダメンタルズや既存のテクニカルを利用した売買の発想とはかなり異なるものですが、そこまでしないとAIやアルゴには勝てない時代が到来しているともいえるのです。
今回のドル円の動きはそのいい教訓とも言えそうです。
コメントを残す