
2018年6月5週目のFX相場と来週の展望
6月第5週目の世界経済は、経済指標の失速感やアメリカによる鉄鋼・アルミニウムの関税措置への報復措置などで冷え込み気味といえます。
今回は、アメリカ・中国・EU・日本それぞれの注目材料を紹介・考察しながらFX相場を分析します。
アメリカの経済指標は前月比で下回り輸入関税措置の影響が広がる
6月26日に発表された米消費者信頼感指数は、前月比で下回る結果となりアメリカ国内の消費・購入行動の低下が続いているといえます。
数値としては、6月が126,4で5月が128,8と小幅な低下に見えますが、市場予想では128,0とされていた為予測を下回る水準で不透明感が漂っています。
保護主義的なスタンスをとっているので、雇用促進に伴う消費行動の上向きが予想されていましたが現時点では予想とは違う結果となっています。
この背景には、アメリカが主要先進国に対して行っている、関税措置で貿易摩擦が起こっていることが挙げられます。
政策としてはアメリカの経済を守るスタンスですが、国民にとっては貿易問題による対立が目立ち、結果として不安視されるようになっています。
EUは、アメリカとの貿易問題によりユーロ相場は全面安
6月第5週のEUに関する材料として取り上げられるのは、やはりアメリカとの貿易問題でしょう。
EU内で大きな材料はなかったものの、アメリカからの鉄鋼・アルミニウム輸入関税措置に対する報復措置が6月22日に行われた点に注目です。
詳細は、EUの欧州委員会がアメリカに対する、報復措置を承認したということを発表しました。
また、更に欧州委員会では、今後アメリカが関税措置を解除しなければ第2の報復措置も検討しています。
この報復措置に最も早く動いたのが、アメリカのハーレーダビッドソンで、同国内の生産拠点を国外へ移転すると発表しています。
現時点では国内の従業員をどのような処遇とするかは明言していませんが、ここで前述の米消費者信頼感指数と繋がっていると考えられます。
つまり保護主義政策が結果として、アメリカ国民の消費行動の冷え込みなど、現時点で様々な影響を与えていると見る事ができます。
中国は貿易問題も抱える中「所得税の税制改革」へ取り組む
中国は、対米投資の9割減など対抗策を打ち出していますが、同時に国内向けの大きな政策も発表しました。
それは、6月中旬頃から検討されている、「個人所得税法修正案(草案)」という税制改革案です。
内容は、主に所得税の大幅減税を中心としており、その背景には貿易問題や中国自身が抱える経済悪化に対する政策の一環でしょう。
また、その1つとして主に国民の生活に関係がある、住宅・医療・教育のローンや支出に対する所得控除が追加されていることなどから見ても判断できます。
大幅な減税政策は、過去と比較しても珍しいパターンであり、日本やアメリカでもこれほどの内容はあまり見られないです。
一般的に考えればポジティブな材料ですが、中国の場合はアメリカとの貿易問題で対立を深めていることや、経済指標の悪化など相次いでいるので楽観視はできないでしょう。
イランからの原油輸入停止要求など来週もドル円は上値が重い展開か
日本にとって大きな問題が降りかかっています。それは、アメリカの対イラン政策・保護主義経済政策の一環として、同盟国に対するイランからの原油輸入完全停止要求です。
この報道は6月26日に行われたので、現時点で詳細な内容は公開されていませんし、日本政府は言及を控えていますが今後のドル円相場だけでなく、生活への影響も懸念されています。
これまで、日本はイランやイラクなど中東諸国とは、独自の外交を行い良好な関係を築いていました。
また、イランなどもアメリカからの圧力に対して、かいくぐりながら日本への原油輸出や油田開発の協力などを行っていました。
しかし、今回の輸入完全停止要求の対応によっては、今後の中東関係に影響を与えますし、同時にドル円相場の方向性にも関係します。
FX市場は全体的にアメリカを中心とした貿易問題を軸に推移しているので、来週も引き続き同問題を中心に相場を分析する必要があります。
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