
世界中から注目を集める雇用統計。FXをやっている人であればだれでも注目をすると思いますし、どのFXの教科書をみてもアメリカの注目経済指標と解説をされています。ただ、問題はその雇用統計が重要であることを、その解説を書いている人のほとんどが「理解していないこと」を認識していないことが問題なのです。
今回は、なぜ、雇用統計は重要なのかのお話をしていきましょう。
本当に大事なのは名目GDP それを測るために雇用統計がある
実は、FX、為替レートというのは国の実力を測るものなのです。つまり国力を表現するものが非常に大事なのです。その国力を図るものはGDP、国民総生産と言います。もっと、難しい話をすると、そのGDP中でもいろいろ種類があり、その中でも「名目GDP」というものが大事なのです。このGDPを実質GDPで測っている方は為替やFXのことを何もわかっていないといっても過言ではありません。FXで大事なのは名目GDPです。
そのGDPの構成要因の中で一番、大きいものは個人消費になります。個人消費とは、皆さん一個人のことを指します。つまり、みなさんが買い物をすることを個人消費といいます。その割合はアメリカでは7割を占めます。
ただ、お買い物をするのにはお金が必要です。お金を得るためには、働いてお給料を得なくては、お買い物はできません。つまり、働く必要があるのです。働くことを企業からみれば雇用と言いますね。そう、その本質が雇用統計なのです。
つまりアメリカの雇用状況を表現したものを雇用統計というのです。
個人消費がアメリカのGDPの7割を占めるのですから、このGDPの上下動、つまり上に向かせようとするのには個人消費を上向かせればいいのです。そのお買い物の原資であるお金は雇用によって発生するから、雇用統計は重要なのです。つまりお給料が増えれば、アメリカの国力が上昇する、つまりドル高になるのですから、雇用統計によってドルがどう動くのかが非常に大事なのです。
2018年4月の雇用統計を例にとって解説
今回の非農業部門の新規雇用者数は、予想が、17.5万人だったのに対して、10.3万人と予想を大きく下回りました。でも、みなさんが注目する、新規雇用者数は、あまり今の雇用統計では重要ではないのです。なぜなら、アメリカは今、FRBによると完全雇用状態で、町に失業者がほとんどいない状態なのです。これがリーマンショック直後であれば、歩けば失業者にあたるような状態でしたが、今は、失業者を見つけるほうが難しい状態なのです。
つまり新規雇用者というのは、ほとんどが転職で職を得た人なのです。これが失業者であれば、所得がゼロからいきなり、月収で20~50万のお給料になるのですから一気に消費が増えるから重要だったのです。ところが、今の状態はほかでお給料を得て、そしてお給料が下がっても同じ仕事で転職する人はほとんどいません。通常はお給料が上昇するから転職をするのです。ですから、今は、新規雇用者数よりも平均時給の伸びのほうが重要になっているのです。
つまり今の雇用統計は新規雇用者数などが注目されておらず、平均時給が予想以上に上昇するか、しないかの問題が重要なのです。
4/6発表の雇用統計は直後に円高になりましたが、これは新規雇用者数が予想より少なかったことに対して売られたのではなく、賃金が予想以上に伸びなかったから売られたのです。この本質を間違えてはいけません。この辺は解説を相当、割かないと理解できないことになりますので、機会がありましたらまたお話しをしていきましょう。
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