
国内FX業者が、海外FX業者(正確には「無登録海外業者」)やバイナリーオプション業者の利用に関して警告を発しています。
もちろんその警告の内容はすべて事実に基づくものですが、これまでこのシリーズをお読みになっていただいた方ならば「何か裏があるのでは?」と思われるかもしれません。
いったんの区切りとなるこの記事では、まず事実を確認した後、国内業者や金融庁の思惑を探っていきます。
金融庁の警告リストはいったい何のリストか?
金融庁のホームページでは、2018年7月現在でも「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」というタイトルで、無登録の海外業者の利用に関して警告を発しています。
こう聞くと「GEMFOREX」のような、どの国の金融庁からも無登録のような業者を利用している方はドキッとするかもしれませんが、実は上記の警告リストにはXMやアイフォレックス、タイタンFX、ハイローマーケット(ハイローオーストラリア)などのメジャー業者も含まれています。
というよりも、特にXMは過去に金融庁の警告を受けて名称変更し、さらに名称変更後も警告を受けているなど、金融庁からある意味愛されている業者だというのがわかります。
ちなみに、ここでいう「無登録」とは日本の金融庁の登録を受けていないという意味であり、海外の金融庁(ないしそれに相当する機関)の登録を受けているものも、上記のリストに含まれています。
ですから「日本の金融庁の登録を受けていない」=違法、ということはいえますが、個人が海外業者の利用を禁じられているわけではなく、また英国などの厳しいライセンス審査を行う国の業者はむしろ信頼性は高い、という考え方ができます。
海外FXとハイロー(BO)の闇
とはいえ、海外業者が国内の主要業者と同様に無条件で信頼がおけるというわけではありません。
特に闇が深いのは「ハイロー(バイナリーオプション)」業者です。
日本のバイナリーオプションは金融庁の規制により、満期までの時間は2時間以上でないといけないとなっていますが、海外業者の中には「30秒ハイロー」「1分ハイロー」などを売りにしているところも多いです。
こうした業者は、意図的なスリッページを発生させて約定レートを操作して、顧客の勝率を下げたり、出金までの手続きが異様に長い、またはそもそも出金に応じてもらえない場合もある、などのケースも発生しています。
とりわけ、約定レートの微妙な操作は証明が難しいため、最もメジャーな業者でもしばしば指摘されているところです。
また、海外FX業者、BO業者に共通することとして信託保全を十分に行っていないということもあります。
例えば、XMは分別管理であり、法的にはXMの資産として保管されるため、業者が破綻した場合、資産は無事に返還されるのか懸念されるところではあります。
国内FX業者や金融庁にも後ろ暗いところが・・
ただ、国内業者や金融庁もまったくの善意で警告しているか、というのも疑わしいところです。
例えば、国内FX業者も意図的なスリッページや約定拒否、グレーアウトなどの不適切な運営を行うところがありますし、こうした自分の事情を棚に上げて海外業者を批判しているとみることもできます。
また、国内業者のほとんどはいわゆるDD方式であり、反対に海外業者の多くが採用しているNDD方式と比較して透明性に問題があるのも指摘しておくべきでしょう。
さらに、日本はFX取引に関して世界最大の市場ですから、顧客を海外に逃したくないという思惑では、すべての国内業者の利害が一致しているということもあります。
一方で、金融庁の「裏事情」というものもあるでしょう。
日本の国内FX業者や国内銀行を利用する限り、資金の流れについてすべて国税庁は把握することができます。
しかし、海外業者や海外の銀行を利用すれば、脱税も理論上可能ということになってしまい、日本の国益を損ないます。
また、海外業者の利益については日本の税収にはつながりません。
したがって、国を挙げて海外業者を締め出すということには、顧客保護という建前以上に、一定の合理性があるということになります。
信頼できるFX業者は実はごく少数
国内業者も海外業者も、単に看板だけを見て信頼できるかどうかを判断するのは早計です。
そもそもFX業者はサラの状態では顧客と利益が相反しており、そこに費用を投入してはじめて顧客に透明性を提供できるという実情があります。
また、過去に信頼できた業者が今は信頼できないということもあるでしょう。
実際、信頼できる業者は10分の1というのは言い過ぎでも、ごく少数だといえます。
FXと長期的に付き合っていくことを考えるならば、短期的な利益ではなく、ロングランにおけるFX市場の発展を視野に入れている業者を探してみましょう。
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