
仮想通貨売り浴びせ?ジョージソロスの思惑とは?
今月6日、ブルームバーグは世界的に著名な投資家であるジョージ・ソロスが創設した投資ファンド「ソロス・ファンド・マネジメント」が、仮想通貨への投資を計画していると報じました。
このビッグニュースにマーケットはすぐさま反応し、先週ビットコインをはじめ主要な仮想通貨が軒並み上昇しました。
すでに第一線を退いているとはいえ、これまで投資の世界で数々の伝説を生んできたソロスが仮想通貨に対してどのような投資スタンスを取るのか、誰もが気になるところです。
すでに買いを仕込んでいるのか?
あまりのタイミングの良さに、マーケット関係者の間では「ソロスが買いを仕込んだ後で、意図的にメディアにニュースを流したのではないか?」といった声も聞かれましたが、その可能性は極めて低いです。
ソロスは、今年1月に開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)で、「仮想通貨はそのボラティリティの高さから、真の通貨としては機能しない」「仮想通貨は典型的なバブルだ」と発言しています。
これまで投資で莫大な利益を上げてきたソロスが、「通貨としては機能しない」と見ている仮想通貨を「典型的なバブル」の水準で買っているとは到底思えません。
また、ブルームバーグの記事では、ソロス・ファンドでグローバル・マクロ投資の責任者であるアダム・フィッシャーが、既に仮想通貨投資について内部の承認を得ているが、まだ実際の投資は行っていないと述べたと伝えています。
記事を鵜呑みにするつもりはありませんが、まだ仮想通貨に投資していないのは本当だと思います。
売り崩しを狙うのか?
一方で、ソロスによる売り崩しを警戒する声も多く聞かれますが、その可能性も低いです。
ソロスといえば、1992年にイギリス政府との戦いでポンドを売り浴びせた「イングランド銀行を破った男」として有名で、「ソロス=売り」というイメージを持っている人も多いでしょう。
しかし、ソロスが今年1月のダボス会議で「典型的なバブルだ」と発言して以来、ビットコインはすでに40%以上も値下がりしており、必ずしも割高とはいえません。
売りを仕掛けるタイミングとしてはあまりにも遅く、もし売り崩しを狙うのであれば、もっと早い段階で参入を表明したはずです。
もちろん、ここからソロスが売ってくる可能性もゼロではありませんが、これまでのソロスの手法と比較しても、現在の水準から売ってくるとは考え難いです。
実は仮想通貨の将来性を高く評価していた?
実はソロスは、すでに間接的に仮想通貨への投資を行っています。
2017年の第4四半期時点で、ソロス・ファンド・マネジメントは大手eコマース企業であるオーバーストック・ドットコム(Overstock.com)の株式を取得し、第3位の筆頭株主となったことが判明しています。
オーバーストック・ドットコムは、2014年にビットコインによる決済を導入した企業で、CEOのパトリック・バーンは「小売事業を売却してブロックチェーン事業にフォーカスしようかと思っている」と述べるなど、仮想通貨支持派として広く知られています。
また、ソロスは現状の仮想通貨について「ボラティリティが高いため現実通貨として機能し得ない」と述べる一方で、ビットコインのベースにあるブロックチェーン技術が建設的に使用される可能性もあると述べています。
ネガティブな発言ばかりクローズアップされていますが、ソロスは市場参加者が増えて過度なボラティリティが抑制されれば、仮想通貨が決済や資金調達の手段として使われるようになると予想し、投機ではなく実需としての可能性に着目して投資しようと考えているのではないでしょうか。
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