
外国人が感じる日本の不思議~WiFiと自販機とポルノ
日本のWi-Fiはフリーではない
日本のWIFI環境はすこぶる評判が悪い事で有名です。観光庁の調査では、外国人旅行者が日本に来て、「もっとも困ったこと」の第1位にWi-Fi環境があがっています。
一見たくさんあるように思える携帯キャリア(docomo,AU,Softbank)のWi-Fiスポットは、新たな契約が必要です。このため外国人旅行者は簡単に利用する事ができません。
以前に比べて最近は整備が進んできているようですが、無料のWi-Fiであっても利用にあたりメールアドレスを要求されるケースが多く、なぜメールアドレスの登録が必要なのか? 外国人旅行者からは疑問の声があがっています。
なぜ、日本はWi-Fiを整備しないのか?
この記事を書こうと思ったのも、自分自身の困った経験がきっかけです。
海外から久しぶりに日本に帰国した時のこと。当日に友達と秋葉原で会う約束をしていたのですが、飛行機が遅れたことで待ち合わせの時間に遅れそうでした。
飛行機が成田に着いたら、僕は急いで特急電車に飛び乗り都内へと向かいました。日本国内用のsimも買わずに…。
その時、僕は甘く見ていたのです。「秋葉原で待ち合わせなんだし、きっとWi-Fiくらいあるでしょう……。秋葉原なんだし(期待を込めて2回目)、大丈夫だよな…秋葉原なんだし(願望を込めて3回目)」
秋葉原についたら、さっそく駅の無料Wi-Fiを探してみました。ところが、当時JR東日本では無料Wi-Fiサービスをやっておらず、近くの無料Wi-Fiスポットにいって欲しいとのことでした。そこは電気街を越えて500メートルほど行った先です。「駅で待ち合わせなんだけどな…」と思いつつ、着いた連絡だけでもしないと、と思いなんとかそこまで歩いて向かって、Wi-Fiを試してみても一向につながりません。周りをみると外国人だらけです。どうやら彼らも同じ事情を抱えているようで、アクセスが集中しているため、ほとんど繋がらないようでした。
しかし、そこで耳寄り情報もゲットしました。駅横のヨドバシカメラで旅行者用に無料Wi-Fiを開放しているそうでした。急いで駅まで戻り、ヨドバシに行って店員に要旨を伝えると、『申し訳ありません。「外国人」旅行者向けなので……』とあえなく断られました。
待ち合わせの時間はすでに過ぎています。
仕方なく、最後の手段でスターバックスに飛び込み「本日のコーヒー」を頼んだ後に「Wi-Fiを使いたいんだけど…」と伝えると、1枚のパンフレットを渡されました。そこには7か国語でスターバックスWi-Fiの使い方が書かれていました。メアドを登録して、会員登録して、本人認証した後に初めて使えるようでした……。どんだけ少なく見積もっても、10分はかかりそうな手続きに絶望をしたことをよく覚えています。まだ「本日のコーヒー」も出来上がっていません。
(当時のWi-Fi環境にに比べて、いまは多少改善はされているそうですが。。あ、あと友達とはその後、再会できました。)
僕も、日本のここがダメ、なぜなら海外のほうが良いから、なんていけ好かない帰国子女が言いそうなことなんて、言いたくはありません。
日本には日本の事情がある。
それくらいはわかってるつもりです。しかし、その事情がしょうもないことが多いのです。
日本の技術力であれば、Wi-Fi環境の整備は難しい問題ではないはずですが、いまだに無料Wi-Fi整備をしないのは、調べてみると整備しないことのメリットがあると政府や公共機関が考えているからのようです。
そのメリットとは、犯罪の防止が第1に挙げられていますが……本気でしょうかか?
Wi-Fiを整備しないことがいったい何の犯罪防止に役立っていると思っているのでしょうか。ネット上で犯罪を起こそうと思えば、無料Wi-Fiを使わなくてもいくらでも身元を隠す手段はあるのに……むしろ防犯カメラが発達した現代、犯罪をするのに公共の場所にあることの多い無料Wi-Fiを使う方が不便が多そうですが。
無料Wi-FiIが普及しない本当の理由
他にも理由はいくつか散見できました。
日本の法律では、無料WIFIの提供者は、認証ログを提供する責任が生じるそうです。
認証ログの提出は1〜2ヵ月に一度あり、犯罪者が無料Wi-Fiを使用した場合、無料Wi-Fiの提供者も罰せられる可能性があるというのも、普及を阻んでる主な要因だと感じました。
これも考えてみると不思議な話です。
もしも誘拐犯が公衆電話を使って、脅迫電話をかけてきた場合、NTTにも責任があり、公衆電話を設置した事業者も犯人と同様に罰せられる可能性がある、と意味合い的には同じです。
それなら、誰がサービスで無料Wi-Fiなんて提供しますか?
大々的にWi-Fiサービスを提供しているチェーン店では、この法律があるせいで、あれほど厳重に登録情報を求めるのです。
新しいものに対応するのがめんどくさい
結局のところ、何が起きるかわからないから、はじめからWi-Fiなんてなかったことにしてしまえば、犯罪も起こらないし、面倒ごとも起こらない。だって、50年前は携帯だってなかったんだから、なくても困らないっしょ。
せいぜい困るのは旅行に来ている外国人くらいなもので、日本人ならキャリア携帯と契約をしてれば大丈夫でしょ?という考えも透けてみえてきます。
でもね、国が衰退していくって、こういうことだと思いますよ。
日本の不思議なところ
少し話は変わりますが、外国人が日本に旅行した時に感じる不思議さは、「自販機」と「ポルノ雑誌」に代表されると言われます 。
「自販機」みたいに「お金が入っている箱」が路上にぽつんとある状態が信じられないと言うのです。
これを聞くと、日本人は自分の国の治安の良さを誇らしく思うでしょう。
しかし一方、「ポルノ雑誌」についても外国人は首を傾げます。
ポルノ雑誌が堂々と子どもでも行ける場所に置いてあることに違和感を抱くというのです。
どちらが良い悪いという話ではなく、私たち日本人は独自の治安概念を持っていると考えたほうがよいと思います。
たしかにお金に対してはクリーンですが、暴力やポルノについては、おそらく外国の方がはるかに厳しいです。
私たち日本人は気軽に男女ともに肌を触りますが、恋人や家族でないのに肌を触る国は、おそらくとても少ないです。
国内業者を保護するための規制
ここまで日本の特殊な事例をいくつか話してきましたが、ほかにも外国人からしてみると、不思議にみえることはたくさんあるでしょう。
「あ、そう。でも、いま不便を感じてないからいいんじゃない? 外国は外国だし、日本は日本」
そうですね。
でも、いま外国にいて、日本のニュースを見たりしてて思うんです。
たとえば、日本ではいま格差社会なんて言いますけど、誰が得してて、誰が損してるとか、そういうニュースの裏側が外国にいて日本と取引してるとなんとなくわかるんです。たぶん、どんな国にも問題はあって、日本だけの問題じゃないと思うんですけど。
だから、あまりいい気持ちはしないですよ。
日本相手に取引してると、いっぱい規制とか法律とか、本当にほかの国より多いんですね。それで、その法律がなんで出来たのかってことを考えると、誰が得してて、損してるのは誰か?っていうこともわかってくる。
結局、損してるのは日本人全体だったりするんですけどね。だから、目には見えづらい。テレビをみても、隣の家をみても、同じように損してますからね。
仕事の関係である業界の人とお会いすると、なぜ、この業界の日本国内業者はあれほど保護されているのか、という話題になります。
規制は、名目上は顧客の保護となっていますが、海外業者にとってみれば、それは日本国内業者の保護のように映りますし、僕もそう感じます。
だから、海外で大規模なカンファレンスがあっても、日本の業者は相手にされませんよ。だって、日本国内の業者は日本国内だけを相手にして、リスクはとらずに高い金をボリ続けていけばいいだけですからね。業務提携や新技術の公開なんて、お互いにとってあまりメリットはありません。(日本の業者は何しに来てるんでしょうね?)
でも、それで損をしているのは、僕の同胞である日本人なので、忸怩たる思いを抱えてるっていうところです。
コメントを残す