
2018年6月2週目のFX相場と来週の展望
2018年6月2週目に起きた、世界経済に影響を与える材料とFX相場の振り返りについて解説していきます。今週は、対円ユーロ・ドル共に売り傾向が継続しつつも、方向感に乏しい相場でポジションが難しいです。理由としては、来週以降の様々なイベントが関係しています。
米朝首脳会談開催へ向けた最終調整が進む
4月・5月と米朝首脳会談へ向けた動きも、いよいよ大詰めを迎えています。トランプ大統領の米朝首脳会談中止宣言から、約1週間で再開宣言がなされ6月6日には会談場所についての発表もありました。
米朝首脳会談の開催場所は、当初の予定通りシンガポールとなり具体的な会談場所は同国南部セントーサ島のホテルと決まりました。ホテルの詳細についても発表があり、5つ星高級ホテルの「カペラ・ホテル」とされています。
6月12日に向けた会談へ向けて、両国が慎重に詰めの調整をしているとも報道されていることから、会談実施は確実なものと考える事ができます。しかし、肝心の「非核化」という重要な問題に関して両国の条件は変わらず、どのような結果となるかは予測がつきません。また、このような大きな課題を抱えた状態でもあるので、ドル円相場は一時円安方向へと触れましたが方向性の見えない状況で推移しています。
イタリアでは新連立政権発足で混乱も
イタリアでは連立政権を発足させたことで、ヨーロッパ全体の情勢に懸念事項を覚えるトレーダーも多く、ユーロ・ドルは変動が大きく方向性の見えにくい相場を形成しています。
イタリアで発足された新連立政権は、ポピュリズムの「5つ星運動」と極右の「同盟」という思想の違う政党が連立を組み、新たな政治をスタートさせました。しかし、公約にはEUと対立するような経済政策などが含まれており、今後のEU体制やイタリア政治に大きな不安要素を抱えた状態となっています。
特に、不法移民に対する流入阻止や、EUの移行を無視した歳出拡大路線は、ユーロ相場を不安定化させる要因です。ただし、政権発足直後の動きは、EUと協議しながら徐々に公約を実行させる方向へシフトしているので、より現実的な政策実行となるのが予想されています。また、ユーロも来週には方向性が見えてくると分析できます。。
週末にかけて開催されるG7では貿易などが焦点
今週末、そして来週の相場に大きな影響を与えるといわれているのがG7サミットです。6月8日と9日に行われるサミットでは、アメリカとG 6との貿易・外交問題が焦点と考えられています。
トランプ大統領は就任当初から掲げてきた、「アメリカファースト」をベースに外交と貿易を進めており、ヨーロッパも含めた鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置などで対立が懸念されています。また、その為にカナダなど各国が対抗措置を検討・実行していることから、G7サミットで貿易問題が特に議題に上がるでしょう。
他にも、イランの核合意離脱宣言は、他国との足並みを乱す行為として非難されていました。外交は時に妥協も必要とされてきた中で、イラン核合意の甘さを指摘したトランプ大統領のアメリカファーストに沿った行動は、今回のG7サミットでどのような影響を及ぼすのか注目です。
楽観的な見方もあるが来週のイベントに向けて慎重な見極めも必要
G7サミット後の相場ですが、東アジアの問題やイタリアとEUとの問題も含めて、ユーロの変動要因にドル関連の材料が影響してくると予想できます。アメリカは、貿易問題や米朝問題などを抱えているものの、全てアメリカ主導で動いており相場もドル関連の材料で変動しやすい状況となっています。
6月12日には米朝首脳会談も控えており、円・ドルは特に変動が大きくなると予想されます。会談の最終調整は行われているものの、アメリカのCVIDに関する考え方に大きな変更点はなく、北朝鮮とどこまで合意が進むか要注目です。
最後に来週の展望ですが、市場には楽観ムードも漂っているなか、相場に影響を与えるイベントが控えており、総合的な予測ではドル高傾向になるのではと考える事ができます。しかし、楽観的な見方は少なくともG7サミットが過ぎてからの方がリスク回避しやすいでしょう。
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