
米国の大手仮想通貨交換業者コインベースが、いよいよ日本に進出します。
コインベース社は今月4日、同社のブログで「他の市場と同様にわれわれは日本での本格展開で慎重なアプローチを取る計画だ。各段階で日本の法律を確実に順守するため金融庁と緊密に協力していく」とし、「米国で規制され、法律に準拠する仮想通貨企業として、われわれは日本の新規顧客とも同じレベルの信頼を築くことに注力する」と述べました。
コインベース社は、現在32カ国で事業を展開していますが、米国外でさらに勢力を拡大することを目指し、世界で最も仮想通貨取引が活発な日本にオフィスを開設し、日本部門の最高経営責任者(CEO)にはモルガン・スタンレーの元インベストバンカー、北沢直氏が就任する予定です。
仮想通貨業界の「ユニコーン」
コインベース社は、アメリカのサンフランシスコを拠点とする大手仮想通業者で、ブライアン・アームストロング氏によって2012年に設立されました。
利用者数は全世界で2,000万人を超えており、日本の仮想通貨業者最大手bitflyerの利用者200万人と比べてもその規模がいかに桁違いかわかるでしょう。
同社は昨年、目標を66%上回る10億ドル(約1,113億円)の収益を上げるなど、短期間で仮想通貨業界のトップベンチャーに成長しており、未上場企業で企業評価額が10億ドル(約1,113億円)を超える希少な企業を指す「ユニコーン」として注目を集めています。
同社は「GDAX」という仮想通貨取引所を運営し、出来高は全取引所の中で13位とそれほど大きくありませんが、今月2日に大規模機関投資家向けデジタル資産保管ソリューション「コインベース・カストディ」を開始しています。
この新サービスは、米国証券取引委員会(SEC)に準拠し、高い安全性を誇る独立ブローカー「エレクトロニック・トランザクション・クリアリング(ETC)」を通じて提供され、関係者によると同社はヘッジファンドの資金200億ドルの保管を開始したことに加え、他の大型ヘッジファンドとのパートナーシップも模索中とのことです。
また、年内に機関投資家が取引用の借り入れを行えるマージン・ファイナンシングを提供する予定であることも明らかにしています。
三菱UFJが10億以上出資
同社はまだ日本ではほとんど知名度はありませんが、2016年7月に三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)との資本・業務提携を正式発表しました。
三菱UFJ銀行と三菱キャピタルを通して10億円以上を出資し、ビットコインなど仮想通貨のビジネスだけでなく、国際送金など幅広い分野でブロックチェーン技術の応用を検討しています。
三菱UFJ銀行は、日本の金融機関の中では最も早くから仮想通貨の可能性に目を付けて、他の金融機関に先駆けて様々なプロジェクトを展開しています。
2016年2月には、自社開発の仮想通貨「MUFGコイン」の発行を計画していることを発表しました。
MUFGコインは、レストランやコンビニなどに限らず、あらゆる商品やサービスの購入、口座から口座へのスムーズな移動を目的とし、すでに開発状況は終盤に差しかかっています。
また今月14日には、タイや英国の金融機関と提携し、リップルのシステムを使った国際送金の実証実験を今月中に開始し、数年内の実用化を目指すと報じられています。
こうした状況から、コインベース社が日本で登録を認められた場合、三菱UFJ銀行が提携先になる可能性が高いと予想されています。
日本企業と協力することで、日本人に合ったサービス展開が期待されていますが、世界最大の仮想通貨業者と日本最大手の金融機関のコンビが、日本の仮想通貨業界にどのような化学反応を起こすのか楽しみです。
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